吐出の羅針学

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流体を知ろう!

今回は「流体」に関して説明していきたいと思います。
なかでも様々な流体を吐出装置で扱う場合に必須の情報は、液の粘度(粘っこさの尺度)なのです。

流体の粘度にはどんな種類があるか

流体の粘っこさは、その見た目や触った感触で、ドロドロ、サラサラ、堅い、軟らかいなどで表現されますが、これらの表現はどうしても個人差を生じてしまいます。 この粘っこさを定量的に表現しようとする学問を「レオロジー」といいます。定量的に取扱うことにより全世界統一の基準で粘っこさを取り扱うことができるわけです。その「レオロジー」の基礎知識についてお話しします。

「レオロジー」の用途はさまざま

レオロジーは吐出装置だけにとどまらず、様々な分野で活躍しています。例えば、TVで最近取り上げられてお馴染みのドロドロ血、サラサラ血を判定する際には、「血液マイクロレオロジー装置」と言う医療機械が使用されますし、マヨネーズやアイスクリームといった食品の食感、化粧品の付け心地、塗料や接着剤の伸びや垂れなどを測定したり改善したりする上でもレオロジーが用いられています。

流体を知るうえで最低限必要な用語


ずり速度

ひずみを与える速度の大小を示します。単位は[1/sec]。
本文では記号を「D」とします。他に「せん断速度」「速度勾配」とも言われています。トランプの束を思い浮かべてください。カードを積み重ねて、一番上のカードに手を乗せてサッと滑らせます。この時の滑らせた速度をV、積み重ねたトランプの高さをΔyとしたとき、ずり速度は
D=V/Δy
で求められます。
サッと滑らせればずり速度→大。ソロリと滑らせればずり速度→小となります。吐出装置でもポンプでもトランプのイメージ通り「流速大→ずり速度大」、「流速小→ずり速度小」になります。

ずり応力

流動させるのに必要な応力(単位面積あたりの力)を表します。単位は[Pa]。
本文では記号を「S」とします。他に「せん断応力」とも言われています。ずり応力もずり速度同様、トランプの束を思い浮かべてください。トランプの表面積をA、トランプをずらすのに必要な力をFとしたとき、ずり応力は
S=F/A
で求められます。
表面がサラサラしたトランプはほとんど力を掛けずにずれますが、もし表面が粘着質のトランプがあったら、ずらすのにはずいぶん力が要りそうです。これもイメージ通り、「サラサラ→ずり応力小」、「ドロドロ→ずり応力大」、となります。

粘度

粘度:η(イータ)はこのずり速度D、
ずり応力Sより求めることができます。
η=S/D
単位は[mPa・s](ミリパスカルセック)です。流体の粘っこさを表す指標として広く使われています。ちなみに水の粘度は約1[mPa・s]です。なお、従来単位[cP](センチポイズ)も根強く使われています。


粘っこさの尺度は、粘度のメジャー「粘度計」で!

距離はメジャーや定規、重さは天秤やハカリを使って測るように粘度は粘度計で測ります。粘度計は高価なので、通常皆さんの目に触れる機会は少ないかと思いますが、いろんな種類があります。その一例をご紹介します。

回転式粘度計
試料中に円筒形の回転子を入れ、その回転速度とトルクから求める方式
細管式粘度計
細いノズルに試料を流し、ノズル両端の圧力差から求める方式
振動式粘度計
試料中に浸けた振動子の振幅を制御して、その振動子を動かしたときに発生する電流値から求める方法
落球式粘度計
試料中に球を落とし、その落下速度から求める方法
カップ式粘度計
試料を入れたカップのオリフィスから試料を流出させ、その流出時間から求める方法
押出型粘度計
シリンダー内に試料を入れ、その試料をピストンで押し出し、吐出圧力と流量から粘度を求めるものです。あまり一般的ではないですが、グリース類の見掛け粘度を測定するために、JIS K2220/ASTM D1092 の規格に規定されたりしているものです。

一般には構造が簡単で操作性に優れ、測定範囲が広く高精度に測定できる回転式粘度計が広く使われます。


<流体を区分する指標:SDカーブに関して>

押出型粘度計の場合、ピストンの移動速度を変えながら、ピストンの移動距離(=流量)と吐出圧力を計測します。吐出ノズルの径と計測流量によりずり速度D、吐出圧力からせん断応力Sが求まり、これを縦軸にS、横軸にDを配して計測結果をプロットし、近似曲線や直線で結んだものを「SDカーブ(流動曲線)」といいま す。このグラフの形状から次回にご説明する流体の種類も把握する事ができます。

キャプテンメッセージ

流体を定義するうえにおいて粘度が必須の情報だということはおわかりいただけたかな?人によって感覚はさまざまゆえ、液の粘っこさ(粘度)を定量的に表すための統一基準(尺度)が必要であり、「レオロジー」という学問が存在しています。そして、その粘度をグラフ形状に表すことで、更に流体の特性を知ることができるのです。

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